本作品の題名だけを見て、本作品の内容を推し量ることは、至難かもしれない。しかし、ひと度内容を目にすれば、この題名がしっくりくる。 本作品は、小説である。理想的社会主義を著した小説と見られる。または、空想的理想主義小説、啓蒙的空想小説とも見られる。だが、内容は堅苦しいものではない。“大人向け”イソップ寓話というか、“大正時代版物語風”聖書というか、読み進めやすい小説である。 また、本作品の題材である大阪の煤煙問題ーー大気汚染ーーが、早、大正時代にこれ程問題視されていたとは、勉強不足であった。1970年代にクローズアップされた公害問題と同じようである。繰り返してはならない歴史である。