「グリュックスブルグ王室異聞」の感想
グリュックスブルグ王室異聞
グリュックスブルグおうしついぶん
初出:「小説新潮」1954(昭和29)年9月〜10月

橘外男

分量:約192
書き出し:はしがき「その時わたくしは、下町のフォーゲル街《ガーデ》で父の遺《のこ》した家に母と暮していましたが、四月初め頃のある朝、……まだ日陰には雪が残って、その中から……ミルザの花が咲いていましたから、三月末頃だったかも、知れません。ある朝事務所の前に、すばらしいイスパノスイザの高級車が停まって、頬髭《ほおひげ》いかめしい年輩の執事が訪れて来ました。中央公園《セントラル・パルケン》のドラーゲ公爵家から来...
更新日: 2017/11/06
2e170293a285さんの感想

何の気なしに読み始めたのが命取り。 大変読みやすい探偵小説です。 読者に推理を委ねるような、推理小説ではありません。 例えて言うならデンマークを舞台にした火サスかな? 小作品ながら主人公の女性探偵、イングリード・アイネスが大変魅力的で、現代作家なら連作になっていたはずだと思います。 旅先の移動中、仕事を終えての家中でのひととき、そんな、何となく暇な時間をもて余してしまった紳士淑女にお薦めします。