伊庭心猿
本作品は、著者が俳句の師と仰ぐ、「大正俳壇の石川啄木」と称された冨田木歩を回想したものです。本作品の表題『九月朔日』ーー大正12(1925)年9月1日ーーは、冨田木歩の命日に当たります。冨田木歩は、南関東大地震(関東大震災)で被災し、焼死されました。敬愛する師の非業の最期を悼む著者の思いが、行間から窺える作品です。