兄の声
あにのこえ
初出:「子供の広場」1946(昭和21)年4月分量:約16分
書き出し:おかあさんは、ぼくに向《む》かって、よくこういわれました。「小《ちい》さいときから、おまえのほうは、気《き》が強《つよ》かったけれど、にいさんはおとなしかった。まだおまえが、やっとあるける時分《じぶん》のこと、ものさしで、にいさんの頭《あたま》をたたいたので、わたしがしかると、いいよ、武《たけ》ちゃんは、小《ちい》さいのだものといって、にいさんは、おこりはしなかった。ほんとうに、がまん強《づよ》い...