きつねをおがんだ人たち
きつねをおがんだひとたち
初出:「週刊家庭朝日」1950(昭和25)年1月分量:約9分
書き出し:村《むら》に、おいなりさまの小《ちい》さい社《やしろ》がありました。まずこの話《はなし》からしなければなりません。昔《むかし》、一人《ひとり》の武士《ぶし》が、殿《との》さまのお使《つか》いで、旅《たび》へ出《で》かけました。思《おも》いのほか日数《にっすう》がかかり、用《よう》がすんで、帰途《きと》につきましたが、いいつけられた日《ひ》までに、もどれそうもありませんでした。そのうち、あいにく雪《...