雲のわくころ
くものわくころ
初出:「小学六年生 5巻6号」1952(昭和27)年9月分量:約19分
書き出し:冬《ふゆ》のさむい間《あいだ》は、霜《しも》よけをしてやったり、また、日《ひ》のよくあたるところへ、鉢《はち》を出《だ》してやったりして、早《はや》く芽《め》が頭《あたま》をだすのを、まちどおしく思《おも》ったのであります。勇吉《ゆうきち》は、草花《くさばな》を愛《あい》していました。しかし、いくら気《き》をもんでも、その気候《きこう》とならなければ、なかなか、芽《め》を出《だ》し、咲《さ》くもの...