万の死
まんのし
初出:「新児童文化 第4冊」1949(昭和24)年11月分量:約17分
書き出し:万《まん》は正直《しょうじき》な、うらおもてのない人間《にんげん》として、村《むら》の人々《ひとびと》から愛《あい》されていました。小学校《しょうがっこう》を終《お》えると、じきに役場《やくば》へ小使《こづか》いとしてやとわれました。彼《かれ》は、母親《ははおや》の手《て》一つで大《おお》きくなりましたが、その母《はは》も早《はや》く死《し》んだので、まったくひとりぽっちとなりました。こんなことが...