ある少年の正月の日記
あるしょうねんのしょうがつのにっき
初出:「朝日新聞」1932(昭和7)年1月3日分量:約4分
書き出し:一|月《がつ》一日《ついたち》学校《がっこう》から帰《かえ》ると、お父《とう》さんが、「今年《ことし》から、おまえが、年始《ねんし》におまわりなさい。」といって、お父《とう》さんの名刺《めいし》を四|枚《まい》お渡《わた》しなさった。そうだ、僕《ぼく》は、十二になったのだ。十二になると、お父《とう》さんのお代《か》わりをするのか、知《し》らないけれど、急《きゅう》に、自分《じぶん》でも大人《おとな...