「愛に就ての問題」の感想
愛に就ての問題
あいについてのもんだい

小川未明

分量:約6
書き出し:私は母の愛というものに就いて考える。カーライルの、母の愛ほど尊いものはないと云っているが、私も母の愛ほど尊いものはないと思う。子供の為めには自分の凡てを犠牲にして尽すという愛の一面に、自分の子供を真直に、正直に、善良に育てゝ行くという厳しい、鋭い眼がある。この二つの感情から結ばれた母の愛より大きなものはないと思う。しかし世の中には子供に対して責任感の薄い母も多い。が、そういう者は例外として、真に子...
更新日: 2016/04/14
芦屋のまーちゃんさんの感想

小川氏といえば、童話作家と認識していたが、なかなか主張は厳しく重いものがある。苦しむ人にすぐ手を差し伸べる行為は愛ではない、と言う。真の愛は時には傍観者であることを許すようだ。凝視するという行為には実は愛があるのだそうだ。母の愛がそれのようだ。最近はついつい過保護とも思える親が多い。ただ、街中に監視カメラが作動している物騒な世の中で、親が凝視しているだけでは子供の命がいくつあっても足りない。親も子も精神的にも肉体的にも弱体化してきている。