青銅の基督
せいどうのキリスト
――一名南蛮鋳物師の死――
――いちめいなんばんいものしのし――初出:青銅の基督「改造」1923(大正12)年1月分量:約178分
書き出し:はしがき父|秀忠《ひでただ》と祖父|家康《いえやす》の素志を継いで、一つにはまだ徳川《とくがわ》の天下が織田《おだ》や豊臣《とよとみ》のように栄枯盛衰の例にもれず、一時的で、三代目あたりからそろそろくずれ出すのではないかという諸侯の肝を冷やすために、また自分自らも内心実はその危険を少なからず感じていたところから、さしあたり切支丹《キリシタン》を槍玉《やりだま》にあげて、およそ残虐の限りを尽くした家...