人生の明暗。子供たちの中で、化け物のような存在の男か女かもわからないつじうら売り。でも実は寂しい背中をしたお婆さんだった。寒空の下、とぼとぼとつじうらを売るお婆さん。自分は、ぬくぬくとした明るい部屋で友人たちとご馳走やお菓子を食べ、カルタを楽しんでいた。憐れみ寂しさ申し訳無さなど、言葉に出来ない思いが落涙となってこぼれ出る。少年の、多感な時期に足を踏み入れた瞬間。読むほどに深みを憶える作品。
達夫さんは、つじうらの話は皆には話さない気がする。
子供達の素直な純朴さが、よく描かれていて、読み終わったあとのすがすがしさ、を味わった。
カルタ会に集まる子供の姿が、冬の情景の中に息づいて浮かぶ。つじうら売りのおばあさんに接してふと落涙する、達夫の心に、瞬時に訪れた人が生きることへの思い。 その芽生えの瞬間の描写に、私はしびれました。
つじうらって何? 占い?お菓子? ま、一見百聞に如かずってことかな