高野聖が山で体験した怪異譚。嬢様は一体何者なんでしょう？

男二人のうちのお坊さんの寝物語から物語は始まる。 お坊さんが若かりし頃、間違った道に入ってしまった薬売りを見捨てられず追いかけたところ、その道中で妖しげな女とその夫に出会う。 一晩泊めてもらって、再び旅に戻るがどうにも女のことが忘れられない。 いざ、女のもとに帰らんとしたところで、女とその夫についての話を聞く。 女の描写が艶かしいが、なんでこんなに裸になりたがるのかちょっと謎。 見知らぬ男の前でこんなに脱ぐ？？昔ってそんな感じなの？？ 女の過去のエピソードを聞くに、最初は善なる力の持ち主であったように思うが、環境が悪かったのか、元々があやかしであったのか、落ちるのは一瞬なのだなと思う。 お坊さんが助かったのはお坊さんだからなのか、あやかしにも理や信心があるのだろうか。 文章全体の妖しげな雰囲気がよい。

　深山幽谷に潜む　謎の美女の　手練手管にかかり　飽きられたら　馬にされるか　猿に変えられるか　解らない。 行き着く迄にさえ　大蛇▫おびただしい山蛭(ひる)に　悩まされる。 これ　映像化したものも　見たいものだと思った。

キレのよい文体、卓越した表現力に脱帽。高校の文学史で出てきたが、なまめかしさの表現力は高校生では分からないのではなかろうか。「聖」にしたのは、俗に近いからだろうか。

泉鏡花を初めて読んだ。 思ったより男らしいごつごつした文章でびっくり。 臨場感溢れる口語体。満腹！ なんというか…官能的な印象が残っている。

どこかで代表作の一つと聞きました。 旅僧が旅人に不思議な体験を語ります。 話が進むにつれて浮き世離れした内容も出てきて、夢の中の話を聞いているかのようでした。 また、随所に見られる妖しい雰囲気に緊張感をそそられます。ただそこに厭らしさ等はありません。 幽玄華美と評される作者の世界観が楽しめる作品だと思いました。

これを読んで…映画を見るのも一興かな。

ちょっと不思議なお話

自然の描写が美しい。これが泉鏡花なんだ。再読してまた面白い話しでした

夢と現の狭間。婦人の魔が地の底からじわりと這い上がる様。

幻想的だったり　怪しげで色っぽい場面だったり　時に現実に引き戻されたり　次々と印象がかわる。いいたいことは何なのか　などと考えなくてもいい。 感覚で　読み進めていけばいい。

2015年4月1日読了。妖女の底知れない感じが怪談めいた話だが、僧侶の人間臭く庶民的な雰囲気が前置きからあったので、おどろおどろしい印象の話にならず読みやすかった。