春の日
はるのひ
初出:「教育・国語教育」1936(昭和11)年3月分量:約8分
書き出し:もう、春《はる》です。仲《なか》のいい三|人《にん》は、いっしょに遊《あそ》んでいました。徳《とく》ちゃんは、なかなかのひょうきんもので、両方《りょうほう》の親指《おやゆび》を口《くち》の中《なか》に入《い》れ、二|本《ほん》のくすり指《ゆび》で、あかんべいをして、ひょっとこの面《めん》をしたり、はんにゃの似顔《にがお》をして見《み》せて、よく人《ひと》を笑《わら》わせました。とし子《こ》さんは、...