四つの道徳
よっつのどうとく
初出:「家庭雑誌 五巻四号」1907(明治40)年2月分量:約1分
書き出し:小児《こども》が河の中に溺れている。そこを四人の人が通り掛かる。その一人は思った。自己はただ自己のためにすれば善い。彼はそ知らぬ顔をして通り過ぎた。もう一人は考えた。もしあの児を助けたら、神様はきっと何かの褒美を下さるに違いない。彼はただちに水の中に飛び込んだ。もう一人も考えた。人の満足には、内的満足と外的満足との二種類がある。しかして、人を助けるのはその前者に属して、永久に続くところの快感を得る...