「愚かな父」の感想
愚かな父
おろかなちち
初出:「新小説」1923(大正12)年1月

犬養健

分量:約34
書き出し:一月のいゝ晩がつゞく。月がいゝとわたしは団扇《うちは》を持つて縁先に出る。こんなわたしにしろ、また隣の二階家の四角な影の二尺ばかり上に照る月にしろ、月を見れば空想ぐらゐはする。わたしはきつと娘の事を考へる。許嫁《いひなづけ》の男の両親のもとに家事見習に行つてゐるその娘から、このところ一寸《ちよつと》便が来ない。このわたしを忘れて、目新らしい生活に夢中になつてゐるのかしらん。それならばまあいゝのだが...
更新日: 2023/12/05
19双之川喜41さんの感想

 他家に嫁いだ娘が 突然 実家に舞い戻ってきてしまう。 劣等感の 塊のような 父親は 密かに  嬉しいような  妙な気持ちに襲われる。 無理をして借りた  大磯の 海辺の  貸し別荘に 義理の息子が  詫びを入れてきたのを  追い返してしまう。 ところが しばらくして 今度は  娘が 婚家に 舞い戻る。 翻弄される父親の気持ち に 共感すると感じた。