荷風山人の傑作。お堀の周りの地理やカフェの風俗は、お手のもの、殺伐とした時代の中でしたたかに生きる女と、振り回されるややひ弱な男とが見事。往年のフランス映画にもたとえられる出来栄えか。
風俗小説なので 芸者▫女給▫妾の生き生きした描写が 続く。 仕込みの費用で 足が出たことだろう。 最期の相手は 出獄直後の男で 女との一夜の思い出を胸に 自死してしまう。 女は 良いことだってしたのだと感じた。
岡崎京子の漫画に出てくるような女の子を、ちょっと思い浮べてしまいました。本心を人に打ち明けない、強く見えて繊細な、野生的な純粋さをもった女の子。とても魅力的です。 そして…荷風の作品は、ラストがとてもいいですね。痛切な後味。
君子の生きざま、これはこれでいいんじゃないかなと思った。
淫靡で救いがないけど爽やかな読後感。
「つゆのあとさき」は「梅雨のあとさき」だろうか?「露のあとさき」これだと艶っぽくっていいかも。(Aku2)
様々な男と君江を巡る物語。男の執念深さを主題として描かれており、なかなかに面白かった。登場人物が多くもっと読みたいと思わせられたし、どこか物足りなくも感じた。