「お伽草紙」の感想
お伽草紙
おとぎぞうし
初出:「お伽草紙」1945(昭和20)年10月25日

太宰治

分量:約179
書き出し:前書き「あ、鳴つた。」と言つて、父はペンを置いて立ち上る。警報くらゐでは立ち上らぬのだが、高射砲が鳴り出すと、仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾をかぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。既に、母は二歳の男の子を脊負つて壕の奧にうずくまつてゐる。「近いやうだね。」「ええ。どうも、この壕は窮屈で。」「さうかね。」と父は不滿さうに、「しかし、これくらゐで、ちやうどいいのだよ。あまり深いと生埋めの危險...
更新日: 2017/05/07
713b328552d5さんの感想

読みやすくとても面白かったです 言葉というものは生きていることの不安から芽生えたもの。喜びの言葉にも工夫が施され、人間は喜びにも不安を感じている という亀の言葉になるほど真理だと思いました

更新日: 2017/04/05
e3066253e6c0さんの感想

面白かった。浦島と亀のやりとりが最高!!

更新日: 2016/05/09
choyushiさんの感想

恥ずかしながら太宰治はほとんど読んだことがなかったんですが、「野武士のグルメ」という漫画に(ネットで3話ほど読めます)で主人公が友人に薦められ、読みながら吹き出すシーンがあって、気になって読んでみました。 いやぁ、確かに面白い。「太宰?暗いんじゃないか?」「学校教育の弊害ってやつだな」というのは「野武士~」の台詞ですが、まさしく。 これが教科書に載ってたら太宰治のイメージもかなり変わったものになるでしょう。 旧仮名遣いも何書いてるかギリギリ理解できるし、教科書に載せて学ばせたら、謎解き感覚で読み解けて楽しいと思うんですが。 内容も、よく知られたお伽話を実にシニカルに、しかしリアルに描かれています。 竜宮城の「もてなし」なんて、「なるほどなー、確かにこれが一番の贅沢かもね」と妙に納得してしまいました。 さすが、いいとこのボンボンなだけはある(笑) この作品は作者自身のモノローグが挿入されるので、太宰治のものの考え方がストレートに分かったりとか、いや、それすら読者をケムに巻いた発言ではないか?とか、推測するのも楽しいです。 「舌切り雀」では「登場人物全員ろくなもんじゃないな」と思いましたが、雀の一人(?)が「全員悪いよ、くだらない、放っておきな」みたいな台詞を口にしてびっくりしながらも関心しました。 フィクションを読んでいる時、物語の流れ上しょうがないとは理解しつつも、作者の都合が垣間見えてなって鼻につくことがたまにありますが、登場人物の一人に読者の気持ちを代弁させることにより、その鼻につく感じ、読者の不満を解消させる。これはテクニックと呼んでも過言ではないのでは? フィクション作家には太宰治のファンが結構いますが、太宰治の作品には、フィクションの技法が散りばめられていて、勉強になるから、というのもあるかもしれません。

更新日: 2015/12/07
b56e42c20380さんの感想

昔話も、太宰が書くと完全に太宰ワールドになる。矛盾を掬いながら進む物語は一見の価値あり。

更新日: 2015/11/02
e3da249aece7さんの感想

誰もが馴染みのある昔話を、太宰ならではの皮肉とユーモアを織り混ぜながら描き直した作品。特にカチカチ山には大変笑わされると同時に、何とも切ないものを感ぜざるを得ない。 「惚れたが悪いか」なんと言おうと「惚れたが悪い」のである、兎にとっては。