07 二天の巻
吉川英治
武蔵、お通に 「武士の女房は、出陣にめめしゅうするものでない。笑うて送ってくれい。__これ限りかも知れぬ良人の船出とすれば、なおさらのことぞ」 お通、武蔵の船の舳に向かい、 「お心惜しみなく....。行っていらっしゃいませ」 と手をつかえていった。 この下りには目頭が熱くなりました。