「随筆 新平家」の感想
随筆 新平家
ずいひつ しんへいけ

吉川英治

分量:約555
書き出し:はしがきどうも、序文というよりは、これは“おことわりがき”になりそうです。なにしろ、この中に収められた随想や紀行文の一切は、後になって、こんな単行本として纏められるつもりなどはちっともなく、ただ、その時々の必要やら感興やら、また長年にわたる読者のおたずね等に応《こた》えるために書いたりしたものが、あらましですから、いま一書として編録されたのを見ますと、まことに布置《ふち》や祖述《そじゅつ》の首尾も...
更新日: 2021/10/31
d215fd647883さんの感想

この随筆は2部構成になっている。 前半は作品執筆と並行しながら読者からの質問等に答えたり、補足を書いたりといった雑記、後半は史蹟巡りも兼ねた新聞社等帯同の取材紀行となっている。 2021年現在のコロナ禍の中読むからかも知れないが、特に後半の紀行文が興味深い。いわゆる『戦後』の市井の様子なども記されており記録としても貴重に思う。 ただ、この随筆だけでは肝心の『新平家』のネタバレになってしまっている記述もあるのがちょっと残念なので、物語本編の早急な掲載が待たれます。