自信の無さ
じしんのなさ
初出:「東京朝日新聞 第一九四五七号」1940(昭和15)年6月2日分量:約2分
書き出し:本紙(朝日新聞)の文藝時評で、長與先生が、私の下手な作品を例に擧げて、現代新人の通性を指摘して居られました。他の新人諸君に對して、責任を感じましたので、一言申し開きを致します。古來一流の作家のものは作因が判然《はつきり》してゐて、その實感が強く、從つてそこに或る動かし難い自信を持つてゐる。その反對に今の新人はその基本作因に自信がなく、ぐらついてゐる、といふお言葉は、まさに頂門の一針にて、的確なもの...