山の人生
やまのじんせい
初出:山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日分量:約327分
書き出し:自序山の人生と題する短い研究を、昨年『朝日グラフ』に連載した時には、一番親切だと思った友人の批評が、面白そうだがよく解らぬというのであった。ああして胡麻《ごま》かすのだろうという類の酷評も、少しはあったように感じられた。もちろん甚だむつかしくして、明晰《めいせき》に書いてみようもないのではあったが、もしまだ出さなかった材料を出し、簡略に失した説明を少し詳しくしてみたら、あれほどにはあるまいというの...