小川未明
金持ちが 山男の 炭の代金を 誤魔化した。 その金持ちの工場で 大きな梵鐘を 鋳造 し 柿色の 着物を着た 囚人逹が 船に その梵鐘を 積み込もうとした時に 海中深く 鐘は 沈み込んで終った。其からというものは 貧乏人の 怨嗟の 声でも あるような 鐘の声が 海中から 聞こえるようになったという。