「ランプの明滅」の感想
ランプの明滅
ランプのめいめつ
初出:「十三人 第二巻第三号(三月号)」十三人社、1920(大正9)年3月1日

牧野信一

分量:約7
書き出し:試験の前夜だつた。彼はいくら本に眼を向けてゐても心が少しもそれにそぐはないので——で、落第だ——と思ふと慄然とした。と、同時に照子の顔が彷髴として眼蓋の裏へ浮んだ。彼にとつて照子の存在が、彼が落第を怖れる唯一の原因となつてゐたので、然も彼は非常に強く照子の存在を意識してゐたから、非常に落第を怖れた。何故なら、「妾、秀才程美しい感じのするものはないと思ふわ。妾は秀才といふ文字だけにでも、妾の生命の全...
更新日: 2024/04/15
19双之川喜41さんの感想

 男は 恋人から 秀才でなければ 結婚しない と言われ やむなく 嫌々 試験勉強を していると 突如 停電になったので ランプに 頼りつつも 勉強は はかどらない。何かと 気をちらすこともあり 男は 落第してしまう。その後 ほかの女と 結婚し 今度は 女が 執拗に 男の誠意を 疑うことになる。明かりを 巧みに活かして 才能の片鱗を 伺わせると感じた。

更新日: 2017/02/27
芦屋のまーちゃんさんの感想

「明るくなった瞬間には試験と失恋の怖ろしさを想った。暗くなった瞬間には照子の美しさだけを安心して想った。」 X明るさ=安心→○明るさ=不安 X暗さ=不安→○暗さ=安心 受験生なら試験勉強と恋愛がトレードオフの関係になった経験はあるだろう。両立できないから人は悩むのだ! もっとも、早い段階で失恋をしてしまえば受験勉強に邁進するしかなくなるものだ!経験上そう思う。