「妄想患者」の感想
妄想患者
もうそうかんじゃ
初出:「新小説 第二十七巻第十一号(十月号)」春陽堂、1922(大正11)年10月1日

牧野信一

分量:約74
書き出し:一ふつと、軽い夢が消えると、窓先を白い花が散つてゐた。何かにギクリと悸された鼓動の余韻が、同じやうに静かに、心から散つて行くのを、私は感じた。「桜の花だつたか。」、私はさう思つた。ガジガジと、インク壺の中へペン先を突き込む音がする、慌しく「ノート」の頁をめくる音がする。「……即ち、ヘラクライトスは常住の実体を根底より否定し、世界の真相は生成を以てなさるべきものとなしたる為に、クセノフアネースの思想...
更新日: 2019/06/09
e536955d60f3さんの感想

夜風のような酔いが醒める風もあれば じめじめと染みる闇のよう