さかずきの輪廻
さかずきのりんね
初出:「婦人公論 9巻1号」1924(大正13)年1月分量:約42分
書き出し:(この童話《どうわ》はとくに大人《おとな》のものとして書《か》きました。)昔《むかし》、京都《きょうと》に、利助《りすけ》という陶器《とうき》を造《つく》る名人《めいじん》がありましたが、この人《ひと》の名《な》は、あまり伝《つた》わらなかったのであります。一|代《だい》を通《つう》じて寡作《かさく》でありましたうえに、名利《みょうり》というようなことは、すこしも考《かんが》えなかった人《ひと》で...