仔猫の裁判
こねこのさいばん
初出:「教育論叢」1933(昭和8)年5月分量:約16分
書き出し:「こどもクラブ」では、日曜日ごとに、朝の九時半から正午まで、子供会がありました。このクラブは、町の大人たちのつくつてゐる「睦会《むつみくわい》」の二階で、六畳の間二つが、ぶつ通しになる明るい部屋でした。表の間の天井のまん中からは、色テープが八方に引きまはされ、それには、葡萄《ぶだう》の葉や果がブラ下つたやうに、色さまざまの紙かざりが吊《つ》り下げてありました。折紙細工の鶴《つる》や舟や兜《かぶと》...