「みずうみ」の感想
みずうみ
みずうみ
初出:「詩と音楽」1923(大正12)年5月号

室生犀星

分量:約46
書き出し:これは何となく人間の老境にかんじられるものを童話でも小説でも散文でもない姿であらわそうとしたものである。——一舟のへさきに白い小鳥が一羽、静かに翼を憩《やす》めて止っている。——その影は冴えた百合花のように水の上にあるが、小波もない湖の底まで明るい透きとおった影の尾を曳いている。ときどき扇のような片羽を開いて嘴《くちばし》で羽虫でも※《あさ》るのであろう、ふいに水の上の白い影が冴えて揺れた。「お母...
更新日: 2024/05/05
19双之川喜41さんの感想

 文章は 説明的に なると 上手くいかないことがある。という人は けっこう いるらしい。なのに 老境に 感じられるものを 童話でも 小説でも 散文でもない 姿で 現そうとしたもであると 冒頭で 言ってのける。眠元朗(みんげんろう)なる 当時では 老境に 達したとされる 者が 娘と 共に 湖に 漕ぎ出し 幻想的な 体験をする 趣向である。著者の ねらいは 達成された ようでもあり 詩味は 溢れると 想った。 

更新日: 2021/04/03
b53e79cfe52cさんの感想

娘を嫁にやる父親の心境を湖を舞台として幻想的に美しく書き上げている。父親は50歳前後と思われる。男の平均寿命は当時50歳、今は80歳位でありこの父親の心境にはなれない。