生ける銃架
いけるじゅうか
――満洲駐屯軍兵卒に――
――まんしゅうちゅうとんぐんへいそつに――初出:「大衆の友 創刊号」1932(昭和7)年2月5日分量:約11分
書き出し:高粱《かうりゃう》の畠《はたけ》を分《わ》けて銃架《じうか》の影《かげ》はけふも続《つゞ》いて行《ゆ》く銃架《じうか》よ、お前《まへ》はおれの心臓《しんざう》に異様《いやう》な戦慄《せんりつ》を与《あた》へる——血《ち》のやうな夕日《ゆふひ》を浴《あ》びてお前《まへ》が黙々《もく/\》と進《すゝ》むときお前《まへ》の影《かげ》は人間《にんげん》の形《かたち》を失《うしな》ひ、お前《まへ》の姿《すが...