雪の十勝
ゆきのとかち
――雪の研究の生活――
――ゆきのけんきゅうのせいかつ――初出:「山」1935(昭和10)年12月1日分量:約10分
書き出し:初めは慰み半分に手をつけて見た雪の研究も、段々と深入りして、算《かぞ》えて見ればもう十勝岳《とかちだけ》へは五回も出かけて行ったことになる。落付《おちつ》く場所は道庁のヒュッテ白銀荘《はくぎんそう》という小屋で、泥流《でいりゅう》コースの近く、吹上《ふきあげ》温泉からは五|丁《ちょう》と距《へだ》たっていない所である。此処《ここ》は丁度十勝岳の中腹、森林地帯をそろそろ抜けようとするあたりであって、...