「茶碗の曲線」の感想
茶碗の曲線
ちゃわんのきょくせん

――茶道精進の或る友人に――

――さどうしょうじんのあるゆうじんに――初出:「淡交」1951(昭和26)年4月1日

中谷宇吉郎

分量:約13
書き出し:もう二十年以上も昔の話であるが、考古学を専攻していた私の弟が、東大の人類学教室で、土器の研究をしていたことがある。その頃は、まだ今日のように、土器の型式による分類などは、ほとんど出来ていなかった。弟はその分類の仕事にとりかかって、何か科学的な分類法がないかと、いろいろ考えていた。土器の形は、個々の標本では、もちろんそれぞれ著しく異《ことな》るが、特定の地域から出る或る時代と推定される土器をたくさん...
更新日: 2022/02/18
cdd6f53e9284さんの感想

「茶碗の曲線」というタイトルに惹かれて読んだ。 なるほど、茶碗の曲線を測るとは、これはまた面白い着想ではないか。 そのことを研究していたのは、中谷宇吉郎の弟さんで、既に亡くなっていることにもさりげなく触れているが、しかし、変な感情的な思い入れもなく、そして、動揺にぶれることもなく、あっさりと筆を進めていく。 背筋がまっすぐに伸びた科学者の気品を感じさせる文章だ。 実にたいしたものだと感心した。 それに、文末の一文もいい。 「茶道は、科学などに超然としておれば永久に生命があるであろう。」 あっ、そうそう、「超然」で思い出した。 この文章を読んでいて、思わず、むかし基礎数学の授業で習った多様体のことをなんの脈絡もなく連想してしまった。 球面は多様体の例であり、球面に分布するデータを扱うとすると、多様体の言葉を使うのが便利だ、多様体は平面でない空間をユークリッド空間を局所的に張り合わせて作られる空間として定式化したものだとか、なんとかかんとか。

更新日: 2022/02/18
8702fcaf2228さんの感想

中谷宇吉郎さんの文章はほんとーに小気味よいです