「ひとりすまう」の感想
ひとりすまう
ひとりすもう
初出:「海風 第三号」1938(昭和13)年2月

織田作之助

分量:約52
書き出し:奇妙なことは、最初その女を見た時、ぼくは、ああこの女は身投げするに違いないと思い込んで了ったことなのだ、——と彼は語り出した。彼が二十一歳の時の話という。——その女を見たのは、南紀白浜温泉の夜更けの海岸だった。その頃京都高等学校の生徒であったぼくは肺患の療養のためその温泉地に滞在していた。恐らく病気のためだったろうが、その頃は毎夜の様に不眠に苦しめられていて、その晩も、夜更けてから宿を抜け出ると、...
更新日: 2022/10/15
鍋焼きうどんさんの感想

ほぼ全編肺病の若い学生のインテリらしい(男女関係の尽きせぬ)妄想。第三者から見れば単純な構造も渦中の者からしたら複雑怪奇な世界を呈してくる。タイトルはそれをよく表しており、ちょっとした気恥ずかしさも感じられる。

更新日: 2022/02/14
19双之川喜41さんの感想

 題意は 男の一方通行かもしれない思慕の情をさす。 筋は 海辺の温泉に 治療にきた学生と 別れ話にきた男女との交流が描かれ 女だけが 船で去っていく場面で終わる。 治療のために 石油を飲むのは 他の作品でも 見たことはあると感じた。