砂漠の町とサフラン酒
さばくのまちとサフランしゅ
初出:「童話」1925(大正14)年6月分量:約15分
書き出し:むかし、美《うつく》しい女《おんな》が、さらわれて、遠《とお》い砂漠《さばく》のあちらの町《まち》へ、つれられていきました。疲《つか》れているような、また、眠《ねむ》いように見《み》える砂漠《さばく》は、かぎりなく、うねうねと灰色《はいいろ》の波《なみ》を描《えが》いて、はてしもなくつづいていました。幾日《いくにち》となく、旅《たび》をすると、はじめて、青《あお》い山影《やまかげ》を望《のぞ》むこ...