偶言
ぐうげん
初出:「みづゑ 一一〇、一一五、一二四」1914(大正3)年4月、9月、1915(大正4)年6月分量:約15分
書き出し:一日本人の趣味は淡泊である、清楚である、または軽快である、濃艶な、重くるしい、はでやかな、または宏大なものは好まない、だから、——というような話が今でもまだ或る程度まで真実らしく、いわれもし聞かれもしている。日本人の趣味が淡泊とか軽快とかいう言葉でいいあらわし得るものであることが、よし過去において、間違のない事実であったにせよ、「だから」という接続詞をそのあとにくっつけて、現在、または未来もそうで...