歴史家であり、また思想家である津田先生の記紀に関する考え方の詰まった作品だと思います。現代社会でも時代考証をするとき、現代の事象に合わせて合理的に考えることがあります。しかしながら、その当時に正しいとされた思想や思考を顧みず、現代の思想や思考に合った解釈をすると、歴史を歪曲する考察なりましょう。この作品に触れて、物事の見方を改めて考えています。
津田左右吉の神代研究法では、古事記に記載されている神代は思想的に産まれたものであって、歴史ではなく、事実ではない。神代の記述はあくまでもそのように書かれてあるとして、歴史的事実ではなくて、記載者やその時の編纂者の思想歴史観から書かれたものとして、歴史と言うよりか、思想・考えが書かれているものとしている科学的・客観的に考えるべきだ。