男だけど 男に恋してしまったので 一度 胸に抱かれたかった という想いを残して 玉川電車の 線路を 枕に 鉄道自殺をはかる。どうなったかは 描いてないので わからないけど なかなか 感心しにくい 作品と感じた。
黒川創の『国境』を読んで以来ずっと気になっていた日本語文学、あるいは植民地文学作品が青空文庫で読めるとは!激動の時代を数々の逆境に鞭打たれながら懸命に生きた作家の青年期の孤独感は、既に英米文学では既にひとつのジャンルともなっているゲイフィクションという形を取ってここに表出した。他者への眼差しに乏しい旧来の日本文学にあっては、生身の人間が如何に時代や政治に翻弄されざるを得なかったかを、人間が抱く愛という永遠のテーマについては言うまでもなく、よく考えさ出てくれる作品であると思う。漱石が途中で筆を折った満州紀行が朝鮮半島紀行にも引き継がれていたならばと残念に思うが、それも急変した日本国内情勢に影響されたことを思うと、実に深い感慨を抱かざるを得ない。今や世界がグローカリズムの時代に遷移したといわれ、日本語を読み話すものにとっては、ポリグロットの作家達に視点を注ぎ、自分たちが「海外の」人々からどのような他者として見つめられているかを立ち止まってじっくり考える懐を持つことも文学の地平線を拡げうる手段である。歴史を繰り返させないよう、新酒は新しい器で味わうべきなのである。
コミュニケーションが下手に尽きる。友達が欲しかった。でも一目惚れした子は無口で、自分はおしゃべり好きだったから愛を感じられなかった。主人公の愛=語らいだったのだろう。 現代人でもこういう人は多くいそう。