四つの都
よっつのみやこ
初出:「映画評論 第一巻四号」1944(昭和19)年4月分量:約78分
書き出し:『四つの都』の起案より脱稿まで『四つの都』は川島雄三氏の第一回演出作品であるが、同時に私にとっても第一回シナリオである。更に言うならば、川島氏も私も共に大正生れである。つまりお互いの感受性、物の考え方に世代的な共通点を持っているのだ。『四つの都』にいくらか新しい意義があるとすれば、この二つの点ではなかろうかと私は考えている。私は小説家である。小説家がシナリオを書くという例しは、最近は稀である。私自...