いわゆる自然の美と自然の愛
いわゆるしぜんのびとしぜんのあい
初出:「時代思潮」1905(明治38)年5月分量:約20分
書き出し:教育学の書物を開いて見ると、博物学の教育的価値を論ずるところにかならず次の一か条が掲げてある。すなわち「博物学を授ける目的の一は生徒をして自然の美なるを感服せしめ、したがって自然物を愛するの情を起さしめるにある」と書いてある。わが国の文部省の普通教育に関する法令の中にも、やはりこの説によったものと見えて全く同様なことが載せてある。また博物学者の方にも同様な考えを抱いている人が多数を占めているようで...