「人間生活の矛盾」の感想
人間生活の矛盾
にんげんせいかつのむじゅん
初出:「中央公論」1926(大正15)年1月

丘浅次郎

分量:約47
書き出し:一今日の世の中ほど人間のすることが互いに矛盾した時代はかつてあったであろうか。新聞紙は世間を写す鏡であるというが、日々の新聞に出て来る記事を比べて見ると、実に相矛盾することばかりである。賭博の最中へ警官が踏み込んで数名を捕えたという記事に並んで、十円の債券で千円の割増金をかち得た仕合せ者の肖像が出ている。わずか十円の才覚ができぬために母子三人が水に飛び込んだという項の隣りに、何とかの茶碗が一万円で...
更新日: 2023/02/28
2f7d32d373a2さんの感想

現代の進化学説から見れば、丘先生の学説は「利己的な遺伝子」以前の未熟さがある。しかし、当時の知識から独自の論説展開を辿ることができ、興味深く拝読しました

更新日: 2015/12/15
0e891017c650さんの感想

生物進化の観点から、人間社会に生ずる矛盾を捉えようとした考察。人間の社会性が進化の過程で生じたものだとすれば、個々人の価値観もある一定の方向に収斂されるはずである。価値観の多様化が進み、上下関係のような社会性すらも形を変えつつある現代においては、生物進化学的には退化の一途を辿っているのかもしれない。

更新日: 2015/12/06
57ec456b2d31さんの感想

先生が同時代におられない事が残念です