「無念女工」の感想
無念女工
むねんじょこう
初出:「プロレタリア詩」1931(昭和6)年9月号

榎南謙一

分量:約2
書き出し:お早うさん昨夜の夢は?故郷《くに》の庭には柘榴《ざくろ》の花が散ってるだろうけさもまたやめて帰ろと思うたが帯はあせたし汽車賃なしではどうにもならぬ爪をもがれた蟹のように冷たい石畳みをヨチヨチと私たちは工場へはいる今日もいちんちトタン塀の中で無自由だ!渇いて渇いてやりきれぬトタン塀の外はたんぽぽが咲いて乳をながしたような上天気町の活動小屋がラッパを吹いて廻るし糸をつなぐ手がこんなにそわそわする無理も...
更新日: 2016/03/07
芦屋のまーちゃんさんの感想

爪をもがれた蟹のやうに、青春が八方塞がりとは、何とも可哀想だ!不謹慎ながら彼女達の中で、容姿が端麗ならもしかして、資本家の目に留まりプロレタリアートから社長夫人に革命的変身を遂げるかもしれないというような差別的偏見を男は内在しているものだ。どんな環境でも美人は絶対的に男の心を惑わす。どんなみすぼらしい格好をしても、豚小屋に紛れ込んだ猫を探すように美人はすぐにわかる。