貧農のうたえる詩
ひんのうのうたえるうた
初出:「戦旗」1929(昭和4)年10月号分量:約2分
書き出し:春——三月——薄氷をくだいておらあ田んぼを打っためっぽー冷《はっ》こい水だ足が紫色に死んで居やがる今日は初田打晩には一杯飲めるべーと気付いたのでおらあ勇気を出したベッー※手に唾をひっかけて鍬の柄をにぎっただがやっぱりだめ手がかじかんで動かないちきしょうおらあやっぱり小作人なんだそれから夏が来た煮えかかるような田の中で俺達は除草機の役をする十日も続く指の先から血が滲む其のいたいったらちきしょう!地主...