金の輪
きんのわ
初出:「読売新聞」1919(大正8)年1月21日~23日分量:約4分
書き出し:一太郎は長いあいだ、病気《びょうき》でふしていましたが、ようやく床《とこ》からはなれて出られるようになりました。けれどまだ三月の末で、朝と晩には寒いことがありました。だから、日のあたっているときには、外へ出てもさしつかえなかったけれど、晩がたになると早く家へはいるように、おかあさんからいいきかされていました。まだ、さくらの花も、ももの花も咲くには早うございましたけれど、うめだけが、かきねのきわに咲...