縛られたあひる
しばられたあひる
初出:「児童文学」1936(昭和11)年3月分量:約18分
書き出し:流《なが》れの辺《ほと》りに、三|本《ぼん》のぶなの木《き》が立《た》っていました。冬《ふゆ》の間《あいだ》、枝《えだ》についた枯《か》れ葉《は》を北風《きたかぜ》にさらさらと鳴《な》らしつづけていました。他《た》の木立《こだち》はすべて静《しず》かな眠《ねむ》りに就《つ》いていたのに、このぶなの木《き》だけは、独《ひと》り唄《うた》をうたっていたのです。ここからは、遠《とお》い町《まち》の燈火《...