三の酉
さんのとり
初出:「中央公論」中央公論社、1956(昭和31)年1月分量:約24分
書き出し:一——おい、この間、三《さん》の酉《とり》へ行ったろう?……ズケリといって、ぼくは、おさわの顔をみたのである。——えゝ、行ったわ。……どうして?……と、おさわは、大きな目を、くるッとさせた。——しかも、白昼、イケしゃァ/\と、男と一しょに、よ……と、ぼくは、カセをかけた。——あら、よく知ってるわね。と、そのくるッとさせた目を、正直にそのまゝ、——おかしいわ。と、改めて、ぼくのほうにうつした。——ち...