魅力と親しみと美に優れた良寛の書
みりょくとしたしみとびにすぐれたりょうかんのしょ
分量:約10分
書き出し:良寛様のようなずばぬけた書を、我々如きが濫《みだ》りに批評するなどは、僭越に過ぎるかも知れぬが、常々良寛様に親しみと尊敬とを持っている一人として、感ずるところを、一応述べさせて貰うことにする。良寛様の書は質からいっても、外貌からいっても、実に稀にみるすばらしい良能の美書であって、珍しくも、正しい嘘のない姿である。いわゆる真善美を兼ね具えたものというべきであろう。かような良能の美書の生まれたのは、良...