詩人の 貘さんは 誰が 見かけても 相当 怪しい 風貌を しているので 誰何(すいか)されること かずしれず 怒りも しないで 丁寧に 応答していた けど 面倒臭いので そのことを やはり 詩人の 佐藤春夫に こぼすと 僕が 証明書を 書いてやろうと 名刺に 書いてくれた。詩人を 知っている 人は ごく 少ないので 効き目は あまりなかった という。また 詩の 好きな 巡査が 同じような 名刺を 作ってくれた。それを 見せると 日比谷公園の 交番で 番所の 裏の 茂みを 此処なら 良いだろうと 示して くれたと いう。
風変わりな作者と警察官の友達のやり取りが楽しい。若く、爽やかな友情が夏の夜風のような、気持ちの良い作品でした。
この作品のあとに、同じ作者の「楽になったという話」を読むといいかな。 文章から、作者の柔らかな印象を受けます。
面白かった、ユーモラスだ。