「水不足」の感想
水不足
みずぶそく
初出:「改造 第七巻第十号」改造社、1925(大正14)年10月1日

正宗白鳥

分量:約15
書き出し:この土地には水が缺乏してゐる。震災後は殊にひどくなつた。地盤が動搖して水脉が狂つたのか、多くの井戸が涸れてしまつた。昔から、どんな旱魃《かんばつ》が續いた時にも、水量の減じたことのないと云はれてゐた山ノ手の大井戸でさへ、一月十五日の二度目の大地震のためにすつかり調子を狂はせて、稍々《やや》もすると、乾枯びた底を見せるやうになつた。他所の井戸で貰ひ水の出來ない家では、夜の明けないうちから、汲みに出掛...
更新日: 2023/10/04
00813f8b221dさんの感想

関東大震災後の東京で、白鳥の妻や八百屋のおかみさんがもらい風呂をする話。 この頃には風呂はほぼ現在のスタイルになっていたそうだが、それはあくまで富裕層の話で、庶民は風呂のない家も多かったと思われる。 風呂を提供する側の好意、される側の遠慮、お構いなしに図々しく入る人など、人々の性格の違いから来る近所付き合いの難しさは現在でもそのまま通用する。 面白かった。