「天の狼」の感想
天の狼
てんのおおかみ

富沢赤黄男

分量:約9
書き出し:天の狼虎爛々と虎の眼に降る落葉冬日呆虎陽炎の虎となる凝然と豹の眼に枯れし蔓日に憤怒る黒豹くろき爪を研ぎ馬馳ける冬まんだらの雲の影寒雷や一匹の魚天を搏ちからたちの冬天蒼く亀裂せり縞枯葦の月の罅けゆく影ばかり海昏るる黄金の魚を雲にのせ草原のたてがみいろの昏れにけり火口湖は日のぽつねんとみづすまし海峡を越えんと紅きものうごくひた/\と肺より蒼き蝶の翅蜂の巣に蜜のあふれる日のおもたさ明暗早春の鶴の背にある...
更新日: 2020/01/05
19双之川喜41さんの感想

 時代背景は 判然としないけど 戦場俳句とでも いうべき分野の 作品かもしれない。 「阿呆の大地」は 重複しているようにも 思われた。 身を 命の危険にさらしながら 詠んでいるので 余計 胸を打つ。

更新日: 2016/09/15
ayameさんの感想

美しいものを愛する俳人が、人間性を失わせる戦争の渦中において、その繊細な感性を失わずに俳句を作れた。その精神力がすごいと思う。