私の見た大学
わたしのみただいがく
初出:「三田新聞 第三七〇号」1937(昭和12)年5月分量:約5分
書き出し:私の見た大学戸坂潤私小説というものがあって、その評判は好悪相半ばしているようだが、それは私という自分であるものにしか判らない小説、自分だけが面白がるための小説、を意味する心算ではないらしい。それで私論というのも、自分にしか通用しない論文という意味ではあるまい。もっとも私語というものもあって之は自分だけに聞えるもので、他人に聞えては悪いものであるが、印刷にする私論が、他人の眼に触れて悪いという筈はな...