「籠の小鳥」の感想
籠の小鳥
かごのことり
初出:「新潮 第三十八巻第六号」新潮社、1923(大正12)年6月1日

徳田秋声

分量:約24
書き出し:一羊三は山を見るのが目的で、その山全体を預かつてゐる兄の淳二と一緒にこゝへ来たのだつたけれど、毎日の日課があつたり何かして、つひ鼻の先きの山の蔭から濛々と立昇つてゐる煙を日毎に見てゐながら、つい其の傍まで行つて見るのが臆劫であつた。「山にはこちらから料理人が行つてをりますから、宅よりも御馳走がございますよ。」嫂は家を出るとき、そんな事を言つてゐたが、その朝今は故人になつた土地の画家のかいた「雨の牡...
更新日: 2025/08/13
艚埜臚羇1941さんの感想

   毎日を なにかと 自分自身を 誤魔化して 生きている 男が 兄の住む 労働争議の おきている 山奥の 鉱山に 執筆の ために 訪れる。兄は 鳥の えずけを 趣味としており 巧に 心を込めて 鳥の世話を焼く。山に働く 人々と かごの鳥とを 対比させて いるようにも 感じられる。心理描写に 類型を 超えた 巧みさが みてとれると 想った。