「名曲決定盤」の感想
名曲決定盤
めいきょくけっていばん

野村胡堂

分量:約891
書き出し:巻頭言この書の成るまで音楽を愛するが故に、私はレコードを集めた。それは、見栄でも道楽でも、思惑でも競争でもなかった。未知の音楽を一つ一つ聴くことが、私に取っては、新しい世界の一つ一つの発見であった。その頃、日本においては、ワーグナーもベートーヴェンも聴く方法はなかった。劇詩としての『|白鳥の騎士《ローヘングリン》』を読み、文献によって『第九シンフォニー』の壮麗さは知っても、それを音楽として聴くこと...
更新日: 2024/04/17
19双之川喜41さんの感想

 あの 有名な 捕物帖(とりものちょう)の 平次親分が 金を稼いで 評論家の あらえびすが 録音盤(ろくおんばん)を 買い込む。昔は レコード鑑賞会が 盛んで 社会教育の 一環として 開かれていたようでもある。ささやかな 収集家(しゅうしゅうか)にも 配慮があり なけなしの 小遣いで買うなら これこれと 具体的に 教えて もらえた。竹の針を 削って 試してみたり 一晩(盤)だけ 友人から レコードを 借りたりて゛ 当時は いろいろな 制約(せいやく)が 大きいだけに 愉(たの)しみもまた 大きかったような 気がしたのである。著者は 女流歌手を 会社別に コロムビア-ポリドール-ビクターと 分けているのが おもしろい。村上春樹は ジャズ音楽の 愛好家(あいこうか)らしいけれど 何らかの 共通点(きょうつうてん)が あるのかは 判らないと 想った。